研修医・医学生の皆さんへ

当科の臨床

 私たちの診療の対象は腎臓による生体の恒常性維持機構の破綻をもたらす全ての原因と結果であり,一臓器としての腎臓の不調のみを対象としているわけではありません。腎臓内科医は多領域と比べ最も複雑な患者を診療しているとの解析もあります(Tonelliら JAMA Network Open 2018)。

 私たちの腎疾患診療の基本姿勢は、第一に、臓器別診療とは一線を画し、腎臓をhubとして常に「全身を診る」ことです。第二に、患者の生涯にわたり切れ目なく「全経過を診る」ことです。

 屋根瓦式の指導体制と、内科学と腎臓学(nephrology)の深い理解を基盤とした徹底したカンファレンスでの議論を通じて、全身的・全人的な病態把握を鍛錬し、エビデンスに基づく高いレベルでの診断治療の平準化を図っています。

 当科は腎生検が年間100件を超える国内有数のhigh volume centerであり、難治性・進行性腎疾患に対する精度の高い診断と最新の専門的知見に基づく国際標準の治療が行われています。また、透析の導入・維持管理を通じてバスキュラーアクセス作製・管理などinterventional nephrology領域の手技の経験を積む機会も準備されています。

 さらに、上級医の指導のもと若手医師にも院内外で外来診療を積極的に担当していただき、入院担当患者の外来管理はもちろん、かかりつけ医とのCKDの重症度に応じた適切な連携、周術期の腎機能障害、水電解質・酸塩基平衡異常、高血圧の精査・管理、全身性疾患に伴う腎障害、透析患者の全身管理などの院内外のコンサルテーション対応を行うことで、オールラウンドなnephrologistとして必要な経験をバランスよく積むことができます。

当科の週間診療スケジュール

主な定期カンファレンス

  • 新入院カンファレンス(毎朝)
  • チームカンファレンス(毎日)
  • 教授総回診(チャートラウンド:毎週火曜日)
  • 腎病理組織(腎生検)カンファレンス(毎週火曜日)
  • 指導医を交えた拡大チームカンファレンス(毎週金曜日)
  • 透析症例多職種カンファレンス(隔週木曜日) など

初期研修(1年次〜2年次)

 当科は岩手医大附属病院初期研修プログラムやイーハトーヴ臨床研修病院群からの初期研修医の皆さんの研修を歓迎いたします。

 わが国には腎疾患や生活習慣病を背景とする慢性腎臓病(chronic kidney disease: CKD)は約1300万人、その主要な危険因子の高血圧症は約4300万人おり、いずれも代表的なcommon diseaseです。腎障害を持つ患者の体液(輸液)・血圧管理、薬物投与設計は,あらゆる臨床医が避けては通れないスキルです。

 当科で腎生検やバスキュラーアクセス関連の侵襲的手技、免疫抑制療法中の患者や腎機能障害や様々な合併症を有する患者のリスクを先読みした全身管理、透析医療における多職種とのチーム医療などの一端を経験することは、臨床医としての総合力を涵養する良い契機となるでしょう。なお,慢性的経過を呈する例も多いため,診療の全体像を理解するためにできれば複数月の選択をお勧めします。ぜひ当科の扉を叩いてみてください。

 当科における初期研修の詳細は岩手医科大学附属病院医師卒後臨床研修センターHPの初期研修プログラムをご参照ください。

医師卒後臨床研修センター 
初期研修プログラム

専門研修(3年次〜):
腎臓専門医を目指す皆さんへ

 当科での専門研修は内科医としての全身的な視点からの高度の診療能力の獲得(日本内科学会総合内科専門医の取得)と、日本腎臓学会腎臓専門医の取得を目指した研修が主体です。腎臓専門医を志す皆さんの入局を歓迎します。

 腎臓専門医の資格は基本領域の専門医を取得(ステップ1)した上で、日本腎臓学会の定める所定のカリキュラムを修了する(ステップ2)ことで受験の資格を得ることができます。

 2年間の初期研修を修了し腎疾患、高血圧などに興味を持ち、それぞれの専門を志す方、将来透析をはじめとする腎不全医療に携わる可能性のある方は、基本領域として内科を選択し、当科に入局されることを強くお勧めします。

ステップ1:内科(基本領域)専門研修(3〜5年次)

 基本領域の内科専門医取得のため専攻医として岩手医科大学附属病院の内科専門医研修プログラムに登録していただきます。本プログラムでは「内科総合コース」と「地域医療重点コース」の2種類の研修コースが用意されており、それぞれのキャリアパスに適した柔軟な研修が可能です。最短で5年次終了までに日本内科学会総合内科専門医の受験資格を取得します。

 岩手医科大学附属病院の内科専門研修プログラムの詳細は岩手医科大学附属病院医師卒後臨床研修センターHPの内科専門研修プログラム(PDF)をご参照ください。

ステップ2:腎臓領域(サブスペシャルティ)連動研修(〜最短で6年次まで)

 現時点で内科系の各サブスペシャルティの専門医資格取得のタイムコースは流動的ですが、方向性が固まりつつあります。

 腎臓領域は基本領域の研修中にサブスペの研修(連動研修)を行うことが可能で、早期に基本領域とサブスペ領域の専門性を習得する領域と位置付けられています。(厚生労働省 令和元年度第4回医道審議会医師分科会医師専門研修部会(令和2年3月13日)資料1−1

 内科専門研修中に当科の指導医のもとで日本腎臓学会の定める所定のカリキュラムに沿った臨床経験を積むことにより、内科専門医の取得を前提に最短で6年次終了までに腎臓専門医の受験資格の取得が可能となる方向です。

当科における専門医(基本領域,サブスペシャルティ領域)資格取得のタイムコース

現在日本腎臓学会で制度設計が進められており、今後決まることは適宜,日本腎臓学会のHPで周知されますのでご参照ください。

一般社団法人日本腎臓学会 新専門医制度について

当科ならびに当科の関連施設でさらに研鑽を積むことにより、日本透析医学会透析専門医、日本高血圧学会高血圧専門医の取得も可能です。

院外研修

 当科では上記ステップ1を終了後,それぞれのキャリアパスに応じ,適切な時期に岩手県内外の一流の診療実績を有する腎疾患診療基幹施設,透析専門施設で研修を行うことが可能です.関心のある方はお問い合わせください.ご相談に応じます.

大学院

 大学院および社会人大学院については、個人の希望に合わせて対応しており、卒後何年目でも入学可能です。個別にご相談に乗りますので、入学を検討している方は、お気軽にご連絡ください。

医局員インタビュー

講師 吉川和寛(令和2年度ベストティーチャー)

~臨床研修医からの声~
  • カンファの時のプレゼンがとても分かりやすい。
  • 患者さんへの説明の時も難しい言葉を使わず、分かりやすく話している。
  • 腎内のおもしろさを教えてくれた。

臨床研修医を指導する際に心掛けていること

 研修医も1人前の医師であると考え、チームの1人として接しています。「内科」としてはどう考えるか、「内科学」とはどういうものか、という事が伝わるような指導を心掛けています。また、当科の医師全員で研修医を育てていくという方針で研修医を受け入れています。

腎・高血圧内科で身につく知識、技術など

 内科学全般の勉強ができます。腎臓内科に入院している患者さんであっても、病気の原因が腎臓以外にあることもあり、その原因を広く探ることが内科学の勉強になります。また、見つけた疾患によっては、他の科の先生の治療の方が上手くいくこともたくさんあり、適切なタイミングで他の科に入ってもらう技、すなわち「良いタイミングで医療する技」も身につくのではないかと思います。

 将来腎臓内科医にならなくても、たとえば腎機能が落ちている胃癌の患者さん、妊婦さん、心筋梗塞の患者さんなど、腎機能が関わってくる患者さんに出会う機会は多いと思います。当科では、腎機能に合わせると点滴の量をどうしたら良いか、使う薬をどう調整するか、この腎機能で手術に踏み切って良いか、ということが学べますので、これは将来どこの科に進むのであっても必ず役に立つものと思います。

研修医に期待すること

 勢い!!元気!!自分が研修していた頃を振り返ると、汗だくになりながら毎日必死に学んでいたことを思い出します。今の研修医の皆さんにも、元気に積極的に学んでもらいたいと思っています。岩手医大は、大学病院であり様々な科の先輩たちが身近にいるので、何でも聞けて、自由に勉強できる素晴らしい環境だと思います。迷うことがあっても周りがフォローできるので、黙っていたり、ぼーっとしているのでは勿体無いです。自由なローテートで、広く全身疾患を勉強できる貴重な2年間だと思います。ぜひ、勢いをもって、元気に研修を頑張ってください!

お問い合わせ

岩手医科大学医学部 内科学講座 腎・高血圧内科分野

医局E-mail:

医局長または研修担当医師より折り返しご連絡させていただきます.

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